宅地の安全について
あなたの宅地は安全ですか?
「宅地造成工事規制区域内」の宅地の所有者は、設置された擁壁などを安全な状態に維持しなければならないことが宅地造成等規制法に定められていますが、近年、大雨などの影響により、宅地の斜面や擁壁等が崩れる被害が発生しています。もし倒壊等した場合、近隣の宅地や建物にも影響を及ぼすこともあり、復旧にも多額の費用を要します。被害を予防するには、日頃から宅地の点検が大切です。
宅地の点検について、参考資料として国土交通省が作成したマニュアルを、下記に掲載いたします。
隣地とのトラブルを防ぐためには
市では「宅地造成工事規制区域内」における切土・盛土等によって生じたがけ(斜面・擁壁)の崩壊などのおそれがある場合は、法律により指導することが定められていますが、民法で規定されている相隣関係等については、市から指導や介入できないため、当事者間で話し合って解決することになります。話し合いがつかないときは、民事調停か、裁判での解決になりますので、トラブルを未然に防止するために、法律を知ることや法律の専門家にご相談していただくことも必要です。
がけ・宅地のよくある質問Q&A
- Q.隣地に自然がけ(自然斜面)があり、がけ崩れが起こらないか心配なため、市で擁壁の設置等の措置を講じるか、土地所有者に指導してください。
- A.市では民有地に擁壁を設置することはできません。また、自然がけに関しても介入することはできません。民法第199条(妨害予防請求権)で、「占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。」とされていますが、民法に基づくものであり市で指導等の介入はできないため、直接、土地所有者にがけ崩れの予防の対応をお願いしていただく必要があります。
- Q.隣地のがけ(斜面)の木が大きくなり、枝が境界を越えています。市で伐採するか、土地所有者を指導してください。
- A.市が、民有地の樹木等を伐採することはできません。民法第233条第1項(竹木の切除権)で、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」とされていますが、市では民法に基づく指導等の介入はできないため、直接、土地所有者に伐採などの対応をお願いしていただく必要があります。
- Q.隣地との境界にがけ(斜面)がありますが、境界標が無く、どちらが所有する土地になるのか不明です。市でどちらで管理するべきか調べてください。
- A.市では民有地間の境界を調べることはできません。民法第223条(界標設置権)で「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」とされています。まずは、土地を所有している当事者同士で境界の位置や境界標の設置についてお話合いをしていただく必要があります。また、がけ地の維持管理は一般的に、土地の所有者、管理者、占有者に責任が生じますが、いずれにしても市で介入はできないため、当事者同士でお話し合いうえ、適切に管理していただく必要があります。
- Q.雨が降ると、隣の宅地の斜面から雨水が流れてきます。市で雨水排水施設を設置するなどの対策工を講じるか、土地所有者に水流を止めるようにを指導してください。
- A.市では民有地内に雨水排水施設を設置する等の対策工をすることはできません。民法第214条(自然排水受忍義務)で「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。」とされていますが、民法によるものであり市で介入はできないため、当時者同士でのお話し合いが必要となります。
民法の主な項目(抜粋)
- (占有保持の訴え)
- 第百九十八条 占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
- (占有保全の訴え)
- 第百九十九条 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
- (自然水流に対する妨害の禁止)
- 第二百十四条 土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。
- (水流の障害の除去)
- 第二百十五条 水流が天災その他避けることのできない事変により低地において閉塞そくしたときは、高地の所有者は、自己の費用で、水流の障害を除去するため必要な工事をすることができる。
- (水流に関する工作物の修繕等)
- 第二百十六条 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。
- (雨水を隣地に注ぐ工作物の設置の禁止)
- 第二百十八条 土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない。
- (境界標の設置)
- 第二百二十三条 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
- (境界標の設置及び保存の費用)
- 第二百二十四条 境界標の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。ただし、測量の費用は、その土地の広狭に応じて分担する。
- (竹木の枝の切除及び根の切取り)
- 第二百三十三条 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
3 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
三 急迫の事情があるとき。
4 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
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