令和7年度市政方針説明
令和7年第1回市議会定例会において市長が説明した「市政方針説明」について、全文を掲載します。
令和7年第1回市議会定例会市政方針説明
本文
1.市政運営の基本方針
令和7年第1回定例会の開会に当たり、市政運営に対する私の所信と主な取り組みを申し上げます。
はじめに、本市の現況についてですが、本年は、鉄鋼関連分野における新たな設備投資計画、洋上風力に関連する企業活動の活発化、全国展開する商業施設の進出など、明るい兆しがみられており、ものづくりのまち室蘭の潜在力の高さを改めて実感するところであります。
一方で、物価高騰による消費低迷や人口減少に伴う担い手不足など、依然として厳しい状況が続いており、安全・安心な市民生活への影響が懸念されます。
このような現状を踏まえ、新年度では、地域医療や防災、働き手確保などの重要課題の解決に向けて重点的に取り組んでいきます。
まず、地域医療については、人口減少や少子高齢化の進行に伴い医療需要が変化している中、将来にわたって持続可能な医療提供体制の確保が最優先の課題となっています。
地域医療連携・再編の取り組みを進めるにあたっては、スピード感を持って、関係者と丁寧に議論を深めるとともに、先般、設置した検討会を通じて、蘭西地区の2つの総合病院の将来像を共有しながら、市民が安心して医療を受けられる体制構築を目指します。
次に、地震や豪雨などの自然災害が近年増加していることから、市民を守る防災対策の一層の強化として、こどもや女性、高齢者等が不安なく避難生活を過ごせる環境の確保に向けて取り組みを進めます。
さらに、上下水道についても、管路の耐震化工事や衛星画像を活用した漏水調査を実施するなど、安全・安心の確保に向けた対策を講じます。
また、経済活動は、地域で働く人々に支えられており、基幹産業である製造業をはじめ、医療や公共交通など、あらゆる業種で働き手が不足しており、人材の確保が急務となっています。
このため、事業者が取り組む多様な働き手確保を幅広く支援するとともに、将来世代の地域定着に向けた人材育成にも取り組んでいきます。
現下の課題である物価高騰では、市民生活と事業者の経済活動の両面に影響を及ぼしていることから、プレミアム付き商品券の発行により消費喚起と負担軽減を図るとともに、低所得世帯や子育て世帯への緊急的な支援策に力を入れるなど、地域経済の活性化に取り組みます。
このように、取り組むべき課題は多岐にわたりますが、社会情勢の変化に対応し市民の声を踏まえた効果的な施策を展開することで、「住み続けたいまち室蘭」の実現に向け、全力で取り組んでいきます。
2.住み続けたいまち室蘭を目指して
次に、「住み続けたいまち室蘭」の実現に向けた4つの確かな柱に基づく主な取り組みを申し上げます。
なお、教育行政に係る基本的な考え方や施策については、教育長より、教育行政方針として申し上げます。
1.安心できるまちづくり
はじめに「安心できるまちづくり」であります。
市民が安心して暮らすためには、日々の生活に必要な都市機能が充実し、将来に希望を持てるまちづくりを推進することが重要です。
まず、頻発化・激甚化する災害対策では、命を守ることを最優先とした考えのもとに、津波災害などの緊急時における線路横断の実現や避難場所確保などの対策を進めるほか、避難所における寒さ対策に加え、プライバシー確保や災害用トイレカーの導入などにより、避難生活の環境強化を図ります。
さらに、町内会館への冷房設備の設置支援により、地域と連携して暑さ対策のセーフティネットを強化します。
子育て支援では、こどもの健やかな成長を第一としながら、学校給食費の第3子以降無償化などの経済的負担の軽減とともに、産後ケアによる育児支援や発達障がいに対する理解促進への取り組みのほか、こどもの頃から地域に愛着を持ち、地元定着につなげるキャリア教育などを通じて、子育て世帯が幸せを実感し笑顔あふれるまちづくりを推進します。
また、地域とのつながりの重要性が再認識される中、市民が安心して暮らせる環境を整えるため、町内会運営の維持に向けたサポーター制度の導入のほか、成年後見制度や終活支援を充実することで、生き生きと活動できる地域社会の構築に取り組みます。
公共交通は、買い物や通院、通学などを支える重要な都市機能であり、バス事業者が実施する運転手確保策において、目標と期間を定め緊急的に支援するとともに、バス路線の運行補助の要件拡充などにより、市民生活に必要な移動手段の維持につなげます。
2.ものづくりと世界に貢献する港づくり
次に「ものづくりと世界に貢献する港づくり」であります。
あらゆる業種で懸念が広がる担い手不足は、地域経済活動の基盤を維持するための喫緊の課題であり、速やかに対策を講じていくほか、脱炭素を軸としたGX推進の流れを踏まえ、新たな港湾利用を促すなど、時代の潮流を見据えた環境貢献と産業活動の支援が必要であります。
まず、担い手確保対策として、企業からのニーズが高い外国人就労者の受け入れ支援を新たに実施するほか、女性が活躍できる魅力ある雇用の場の紹介、さらには、漁業関係者と連携した人材確保・育成など、多様な働き手の確保を支援するとともに、東京圏の大学を卒業する若者を対象としたUIJターンによる移住促進など、働く人が集まるまちづくりを進めます。
また、企業のロボットやIoT導入に向けた体制を構築することで、先端技術の導入による効率化と生産性向上を後押しします。
洋上風力発電関連産業の拠点化では、港湾施設の活用と他地域での洋上風力建設に携わる事業者などとの連携により、室蘭港における港湾利用プロジェクトを確実に進め、更なる増収と地域経済の活性化に取り組みます。
また、港の賑わいでは、青蘭フェリー航路のPRや大型クルーズ船に対応する祝津埠頭の岸壁改良、緑地整備などを引き続き進めていくほか、釣り文化振興モデル港として新たな賑わい創出に努めます。
さらに、地域の産業競争力強化を目的とする基金を創設し、GX推進に向けた計画的な投資を行うほか、公用車への電気自動車導入や充電設備の整備など、脱炭素社会の構築に向けた取り組みを推進します。
PCB廃棄物処理事業では、処理期限である令和7年度内での安全で確実な処理に向けて、関係機関と連携した取り組みを進めるとともに、処理事業終了後の地域経済振興に向け、国が設置する新たな関係者間の協議の場において、施設解体工事の情報共有や後継事業に関する検討を進めます。
3.潤いある文化・観光・スポーツ振興
次に「潤いある文化・観光・スポーツ振興」であります。
市民が趣味や生きがいを大切にし、潤いある日常生活を送ることは、暮らしを豊かにする上でとても重要なことであります。
そのために、本市の多様な文化活動を支える場として、多くの市民が利用する市民会館の長寿命化を進めるほか、貴重な文化財である南部陣屋史跡の保存に努めるなど、文化振興の充実に取り組みます。
また、市民の健康やコミュニティづくりにつながるスポーツ振興では、施設集約を行った入江運動公園を核として、一層の市民利用の促進を図るほか、全国大会等の誘致を通じて交流人口の拡大を図ります。
観光振興においては、観光客の増加と地域資源の磨き上げが重要な要素となります。
このため、事業者と連携し、地域資源の魅力発信に取り組むほか、水族館では、子育て世代のニーズが高い遊び場としての機能確保とともに、祝津・絵鞆エリア全体の魅力向上に向けて、民間活力の導入を含めた将来のあり方を検討します。
さらに、地球岬では、一層の魅力向上に向けた取り組みの一環として、市民意見を踏まえた駐車場有料化の検討を進めるなど、稼ぐ観光を軸とした好循環による地域の活性化を推進します。
4.将来を見据えた都市整備と行財政改革
次に「将来を見据えた都市整備と行財政改革」であります。
まず、都市基盤の整備では、中島地区における大型商業施設周辺の道路拡幅による混雑緩和や、中島公園の魅力ある整備運営手法の検討を進めるほか、中央地区への居住機能誘導に資する土地の活用に向けた支援を通じて、都市機能の拠点エリア再生に取り組んでいきます。
一方で、新年度の一般会計予算は、人件費等経常経費の増加に加え、自治体情報システム標準化などの臨時経費に対応するため、財政調整基金の取り崩しにより財源不足を補ったところであります。
今後も経常経費の増加が見込まれる厳しい財政運営が予想されますので、引き続き公共施設の適正化を着実に進めるとともに、受益者負担の見直しなど自主財源の確保を図り、歳入歳出両面から行財政改革に取り組んでいきます。
また、厳しい経営状況にある病院事業会計では、病床数の適正化や人件費削減など、あらゆる対策を講じて経営改善に取り組みます。
さらに、第三セクターの経営改革では、株主の理解を得ながら、具体的な経営統合などに向けた取り組みを進めます。
職員提案による業務改善では、子育てに関する休暇制度の拡充を図るとともに、パイロットオフィス導入による新たな働き方の実証を通じて、安心して働ける環境づくりを進めます。
さらに、今後の庁舎整備を見据え、「書かないワンストップ窓口」の導入に向けた取り組みを進め、市民サービスの向上と職員負担の軽減を目指します。
3.むすび
以上、令和7年度における市政運営の基本方針と主な取り組みについて申し上げました。
今、室蘭では、新たな挑戦が動き出しており、その一つとして、本年9月に「室蘭満天花火」が開催されます。
企画を立ち上げた方々は、「たった1日でもいいから日本一になる」、という強い思いで、新たなまちづくりの一歩を踏み出しています。
私は、このように熱意を持って挑戦する市民を誇りに思うとともに、その一歩が多くの市民の心を動かし、これからの室蘭をつくる原動力になると確信しています。
そして、未来を切り開こうとする情熱と行動が確かな成果を生み出し、地域に根付くよう、市としての協力が大切だと考えています。
今後も、市民一人ひとりが自分の目標を見つけ、全力で打ち込める市民主体のまちづくりを進め、より多くの市民が「室蘭が好き」だと実感できる「住み続けたいまち室蘭」の実現に向けて、全身全霊で取り組んでいきます。
むすびに、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
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