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脳神経外科

ページ番号
2105185
更新日
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西胆振地域、唯一の総合病院における脳神経外科として、他の医療施設や診療科と連携・協力して可能な限り最新かつ高度な医療を提供できるように、日々研鑽に励んでいます。一刻を争う緊急疾患(脳血管障害や脳卒中、頭部外傷や脊髄損傷など)には24時間対応し、必要な場合は昼夜を問わず緊急手術を行っています。 また、脳や脊椎脊髄疾患及び末梢神経疾患を幅広く診断・治療しています。その一例として様々な原因が考えられる慢性的な「手足のしびれや痛み」にも対応しています。

診療予定表

午前
月曜日 玉田
火曜日 大山(浩)
水曜日 大山(浩)
木曜日 玉田
金曜日 笹尾

診療している主な疾患と検査・治療について

脳梗塞をはじめとする脳卒中

CT,MRI、脳血管撮影などの最新の医療機器を使用し診断・治療を24時間体制で行っております。

特に脳梗塞はtPA静注療法、脳血栓回収術を行うことにより症状を軽微に済ませることが可能な時代になっています。 ただ、治療までに時間がかかると効果が下がってしまいますので院内体制を整備し、迅速な診断・治療を心がけています。

痙縮

脳卒中や頭部外傷・脊髄損傷による後遺症として、四肢の筋が突っ張るために思うように動かせない痙縮という症状があります。その治療としてボトックス療法、バクロフェンの持続髄腔内投与を行っております。

正常圧水頭症

治せる認知症と言われる特発性正常圧水頭症に対して診断・シャント術による治療を行っております。

脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)

脳血管障害には、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などのいわゆる脳卒中のほか、未破裂脳動脈瘤、脳動静脈奇形やもやもや病などの特殊な疾患も存在します。

脳血管障害は突然起こる事が多く、早急に診断し、治療に取り掛かることが大切です。また、緊急手術が必要な場合(特にくも膜下出血、大きな脳内出血など)もあります。 一般に、脳梗塞は入院してからも2割以上の方の症状が悪化する病気です。そのために治療開始後に起こりうる様々な状態の変化を先取りして治療を行います。 さらに、できるだけ良好な機能回服のために早期リハビリ(初症から数日以内)を導入しています。また、脳卒中による重篤な状態の方や症状が悪化する危険性のある方は当院のSCU(Stroke Care Unit)にて集中治療を行います。

当院では顕微鏡を使った開頭術(頭蓋骨を外す手術)をはじめ、カテーテルによる血管内手術を行っています。病変に応じて最良の治療法を選択します。

脳腫瘍

ひとくちに”脳腫瘍”といっても、神経膠芽腫、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍などの悪性腫瘍から、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫などの良性腫瘍まで、対象となる疾患は幅が広く、その性質は全く異なります。 近年、MRIの進歩に伴い、脳腫瘍の中でも、極めて初期の、あるいは無症状の腫瘍が偶然にも発見される頻度が高まっています。もちろん進行の速い疾患に対しては、迅速な対応が必要となることは言うまでもありません。

当院では、これら多岐にわたる脳腫瘍を幅広く診療しています。診断は主に1.5テスラ高解像度MRIを用い、多角的に診断を進めています。 また、治療には開頭脳腫瘍摘出術(手術)だけではなく、化学療法、放射線治療を併用して可能な限り集学的治療を行っています。 転移性脳腫瘍も多く、その治療には全身の検査を行い、内科、呼吸器科、消化器内科、外科など他科との協力のもと治療しています。

脊髄脊椎疾患

「脳神経外科」というと脳の病気だけを治療する科と思いがちですが、決して脳だけではなく、脊髄や末梢神経に至るまですべての神経疾患を扱います。 手足がしびれる、力が入りにくい、歩きにくいなどといった症状は脳の病気でも起こりますが、椎間板ヘルニアなどの脊椎・脊髄の病気や末梢神経の病気でも起こります。 脳から手足の末梢神経までは全てつながっており、この脳-脊髄-末梢神経のどこかで問題があれば手足に症状が出現します。 したがって、頭のてっぺんから手足の先まで全ての神経を詳細に診察し、MRIなどを含めた詳細な検査を行うことによって、始めてその原因がどこにあるのか評価できるのです。

脊髄の病気には頚椎症、椎間板ヘルニア、腰椎症、後縦靭帯骨化症、脊髄腫瘍などがあります。十分な検査のもと、必要に応じて手術を行っています。

頭部外傷、脊髄損傷

交通事故、不慮の事故などによる頭部外傷、脊髄損傷では緊急手術が必要な場合があり24時間体制で治療を行っています。重篤な頭蓋内出血を伴う場合、全身の外傷が合併する場合も多く、整形外科、外科などの他の診療科と連携・協力し対応しています。

認知症について

物忘れから始まることが多い認知症ですが、徐々に悪化していき、やがては寝たきりになることもあります。まず、認知症の原因を検討するため、CTやMRIを施行します。 中には慢性硬膜下出血、正常圧水頭症、脳腫瘍、脳出血、多発性脳梗塞などが原因の認知症もあります。正確な判断を行い手術、薬物療法など適切な治療を施行します。また、病状や疾患によっては神経内科や精神科に紹介することがあります。

頭痛、慢性難治性疼痛、その他の疾患

顔面けいれんや三叉(さんさ)神経痛など、外科的治療が可能な疾患などを扱います。慢性頭痛、片頭痛、後頭神経痛、筋緊張性頭痛、心因性頭痛などの頭痛に対しても十分な鑑別を行います。 また、慢性難治性疼痛(脳卒中後疼痛、脊椎手術後疼痛など)で薬物療法が奏効しない方に対して脊髄刺激療法(SCS)を行っています。手足のしびれや痛みで困っている患者さんは一度ご相談ください。

顔面けいれんについてはボトックス療法や顕微鏡下で行う神経血管減圧術を行っております。

当科の特色

脳卒中・頭部外傷などの診断および治療を24時間救急医療体制にて行っています。MRI、CT、DSA(血管X線撮影装置)など最新の医療機器により脳、脊髄の診断を行い、特に脳卒中の予防に力を入れています。 近年、治療可能な認知症といわれる特発性正常圧水頭症に対しても、積極的に鑑別診断、治療を行っています。 また、慢性難治性疼痛(脳卒中後疼痛、脊椎手術後疼痛など)で薬物治療が奏効しない患者さんに対して脊髄刺激療法(SCS)を積極的に行っています。しびれや痛みで困っている患者さんは一度ご相談ください。

慢性難治性疼痛への取り組み

慢性難知性疼痛について

慢性難治性疼痛には、機序が異なる2種類のタイプがあります。1つは痛覚の受容器・末梢神経が異常に刺激されるために生じる侵害受容性疼痛です。もう1つは痛みを感じる神経が障害され、その数ヶ月後に痛みが発生する神経障害性疼痛です。神経障害性疼痛は、障害された神経より上位(=脳に近い部位)の神経で異常な放電が発生することにより疼痛が発生すると考えられています。

侵害受容性疼痛の代表例としては、癌の骨への転移により痛みを生じることが挙げられます。この疼痛の場合は、通常使用される鎮痛剤やモルヒネの内服などが効果を示すことが多いです。一方、神経障害性疼痛の代表例としては脳卒中後に発生する四肢や顔面などに生じる疼痛(いわゆる視床痛)があります。このタイプの疼痛に対しては、神経の異常興奮を抑える薬(抗てんかん剤)を中心に治療し、その他様々な種類の薬が投与されますが十分な効果を得られない場合が多いです。また脊髄の損傷(外傷、手術後など)や脊髄から出ている神経の障害でも同様な疼痛を生じます。

現在、難治性の神経障害性疼痛に対していくつかの外科的治療選択肢が存在しますが、日本では患者さんのみならず医療関係者の間にもあまり認知されていません。つまり何らかの外科的治療を行えば、疼痛が軽減する可能性がある患者さんが存在しているということです。当院における外科的治療までの流れは以下のようになります。

受診から手術までの流れ

  • 痛みの原因、種類、部位、経過などの把握
  • MRIなどによる神経障害部位の把握
  • 薬物治療の評価
  • 神経ブロックによる効果予測
  • 手術適応の有無の評価
  • 外科的治療の検討

薬物治療の評価

外科的治療を計画する前に、難治性疼痛に対して効果があるとされる薬剤が十分投与されているかを評価します。薬剤治療が不十分な患者さんの場合は、薬を増量もしくは新しい薬を内服していただきます。難治性疼痛に対しては、一般によく使用される消炎鎮痛剤は無効なことが多く、抗てんかん薬、抗うつ剤などを使用します。これらの薬物治療に対して、痛みが軽減しなかったり、副作用のため十分量の薬を使用できないような場合に外科的治療を検討します。

当院の外科的治療

当院では、慢性難治性疼痛の患者さんの痛みを軽減できるように脊髄刺激療法(SCS)を行っています。

慢性難治性疼痛の外科的治療法

脊髄刺激療法(SCS)とは

通常の治療に抵抗する慢性の痛みに用いる治療法のひとつで、脊髄の硬膜外腔という部位に電極を挿入し電気刺激することで痛みを和らげようとするものです。全ての痛みに有効なわけではなく、効果が期待できる痛みは限られています。また、埋め込み術後はMRI検査が受けられないなどの不利益もあるので、治療を受けるかどうかは慎重に決めなければなりません。

脊髄神経を刺激して痛みを軽減するという試みは、決して新しいものではなく、北米では1960年代から広く試みられ、日本でも1970年代から臨床応用が検討され、1992年に保険医療の適用となりました。現在、海外では毎年2万人に行われていますが、国内では認知度が低く累積で5千人にとどまっています。しかし、近年どのような痛みに効果があるかわかってきたため、対象をきちんと選択して行うようになった結果、有効率が高く報告されるようになってきました。また、機器の進歩により、局所麻酔のみでより侵襲の少ない方法で行えるようになりました。

主な適応疾患

  • 脊椎脊髄手術後に再燃した痛み
  • CRPS(複合局所疼痛症候群)
  • 脳卒中後の痛み(顔面以外)
  • 末梢血管障害(ASO、バージャー病、糖尿病性血管障害、など)
  • 帯状疱疹後神経痛/幻視痛/不完全脊髄損傷
  • その他の薬剤抵抗性疼痛

手術条件

  • 薬物治療で除痛が十分ではない
  • 慢性疼痛(6ヶ月以上継続)である

治療の手順

脊髄刺激電極(リード)の本植込みの前にリードを試験的に挿入し、その効果をご自身で判定することができます。治療は以下の2回の手術を行います。

(1)リード挿入術
局所麻酔下で腰部を穿刺しリードを挿入後、一般病棟で約1週間テスト刺激を行い、除痛効果を判定します。
(2)刺激装置の植込み(もしくはリード抜去術)
リード挿入術から約1週間後に2回目の手術を行います。テスト刺激で効果があった場合は刺激装置を腹部へ埋込み、リードと接続します。効果がなかった場合は1回目の手術で挿入したリードを抜去します。

対象患者

主な症状
頭痛、めまい、頚部・肩の痛み、腰痛症、下肢痛、手足や顔のしびれ、運動麻痺、呂律が回らないなど
主な病気
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、頭部外傷、脊髄損傷、脳腫瘍、脊椎・脊髄疾患、顔面けいれん、正常圧水頭症、てんかん、慢性難治性疼痛など

医師紹介

大山 浩史(おおやま ひろし)
役職・職種
副院長
名前 大山 浩史(おおやま ひろし)
経歴
札幌医科大学(1992年卒)
専門分野 脳神経外科治療一般、血管内治療一般、救急領域一般
資格 日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、日本救急医学会専門医、日本DMAT隊員、ICLSインストラクター、JPTECインストラクター

玉田 智晃(たまだ ともあき)
役職・職種
医長
名前
玉田 智晃(たまだ ともあき)
経歴
札幌医科大学(2016年卒)、札幌医科大学大学院(2023年卒)
資格 日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医、脳神経外科治療一般
患者の皆様に一言 皆様のお力になります。よろしくお願いいたします。

役職・職種 医員
名前 笹尾 明日翔(ささお あすか)
経歴
札幌医科大学(2021年卒)
資格
脳神経外科治療一般
患者の皆様に一言 皆様の力になれるように精一杯精進していきます。よろしくお願いします。
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