三菱製鋼室蘭特殊鋼(株) 佐藤諒さん
2021年3月20日取材
三菱製鋼室蘭特殊鋼株式会社 室蘭製作所 佐藤諒さん
ーー室蘭の基幹産業である鉄鋼業で働き、室蘭の写真を撮り続ける佐藤さんに「室蘭へUターンした経緯」「室蘭の被写体としての魅力」「室蘭での働き」について聞いた。
室蘭は自然と工場が融合し、様々な表情を見せる撮りがいがあるまち

ーードローンでイタンキ浜を撮影されてましたが、いかがでしたか?
冬が終わって、春になるタイミングでドローンを飛ばしてても気持ちよかったですし、ドローンからの映像は綺麗でした。
ーー室蘭は雪が少ないですが、北海道は四季がはっきりしていますよね。1番好きな季節はいつですか?
海が綺麗で好きなので、海に行ける季節の夏が好きです。特に夏は写真も撮りたくなります。寒さも苦手なので、夏が1番好きです。
ーー生まれも育ちも室蘭ですか?
室蘭生まれ、室蘭育ちで、室蘭工業大学卒業まで室蘭にいました。
ーー室蘭工業大学を卒業した後に色々な選択肢があったと思います。寒さが苦手とのことでしたが、何で室蘭に戻ろうと思ったんでしょうか?
室蘭は住みやすいですし、好きな海に囲まれているというのが1番の理由ですね。海は何か考え事をしたり、気持ちを切り替える場所になっていて、海に行くと癒やされます。そして、室蘭が好きだったからです。
ーー海以外で好きなところはありますか?
室蘭の狭い中で、色々なものが交わり合っている感じが好きです。
ーー素敵な写真を多く撮られていますが、写真を撮る場所として、室蘭はどういうところが魅力ですか?
自分が住んできたまちということもあると思いますけど、イタンキ浜だったりの自然があるのに対して、工場群があって、これらが融合しています。自然と工場から見える人の営みが交わり合っていて、写真を撮るのが楽しい場所です。四季によって色んな表情、姿があって、頻繁に出るものじゃないですが雲海があったり、冬なら雪も積もったり、工場も一つ一つ煙が出る場所が違っていたり、海も波の様子が時々で違ったりと撮りがいがありますし、撮り飽きない場所です。
ーー自然が好きとのことでしたが、室蘭の夜景はいかがですか?
室蘭の工場夜景も撮っています。室蘭の写真のバリエーションの一つだと思います。工場は室蘭の自然とは違った歴史が多く詰まっている場所だと思っていて、撮りたくなる対象です。
写真を通して室蘭の新しい一面を知ってほしい。室蘭には絶対におさめたい瞬間がある

ーー佐藤さん自身も室蘭を撮ってて楽しんでいるかと思いますが、室蘭で開催されている「撮りフェス」をきっかけに、他のまちからも室蘭を撮りに来てくれていますよね。
他のまちからも来てくれるのは嬉しいですね。僕はいつも室蘭にいるので、好きな時に好きな写真を撮れますけど、「撮りフェス」で室蘭以外から写真を撮りに来てくれることで、普段は気づかなかった室蘭の一面や「こんな瞬間もあるんだ」ということを知れました。
ーー佐藤さんは普段から楽しんで写真を撮られていると思いますが、室蘭以外の方も室蘭で写真を撮って楽しんでもらえるのは嬉しいですよね。
ーー「室蘭にこうなってほしい」や「室蘭でこんなことができたらいいな」という想いはありますか?
写真を撮る人だと、撮りがいがあるまちだと思うんですけど、写真を撮らない人が単純に楽しむことを目的に来る場所には、まだなれていないと思います。なので、人が楽しめる場所や自然を体験できることが増えてくれたらいいなと思っていますし、自分でも関わって広がっていったらいいなと思います。
ーー佐藤さんが写真をはじめたきっかけはなんでしょうか?
きっかけが特にあった訳ではなく、もともと写真撮るのが好きで、記録するっていうことが好きでした。大学に入って、カメラを自分で買えるようになって、本格的にはじめました。
ーー佐藤さんが素敵な写真を撮られてますが、まわりの人の反応はどうでしたか?
撮った写真が室蘭の観光パンフレットに使ってもらったりして、「室蘭にこんな一面あるんだ」ってビックリしてもらえたりして、嬉しいです。でも、写真を撮るときは夢中で撮ってましたね。雲海は年に数回しかないチャンスなので“絶対に写真におさめたい”という想いで撮ってます。
工場は室蘭の歴史にそのものに触れられる。室蘭の産業に触れて、室蘭に残ってほしい

ーー普段はどちらで働かれてますか?
工場で働いています。仕事して3年経つんですが、工場の中からだと室蘭にはまた違った顔があると思ってます。
ーー先ほど「工場には室蘭の歴史がある」との話しもありましたが、実際に工場で働いていて、歴史を感じる機会はありますか?
外から見てても歴史を感じると思うんですが、工場の中にいると歴史そのものが今も動いているように感じます。今でも歴史あるものが実際に動いていて、そういうものを維持するのか、無くしていくのかを計画する中で、歴史に触れられているなと思います。自分が住んできたまちだから感じるのかもしれないですが、自分のおじいちゃんの時代や、そのもっと前から使っているものに触れられて仕事ができるというのが感慨深い気持ちになります。
ーー室蘭は自然も豊かですが、「ものづくりのまち」ですよね。世界に通じるものを製造していますが、それに携わって感じることはありますか?
色んな人が携わることで、ものを一つ一つ作っていくことはすごいことだと思いながら働いています。自分がやっている仕事もしっかりと責任感やプライドを持ってやっていかないといけないなと日々思っています。
ーー以前、工場で働いている方に今は精度のいい機材が多くあるけど、精度のいい機材があっても、それを使いこなす人が大事だと聞いたことがあります。
“人”が大事だと思います。ただ、時代が変わってくにつれて、これからは人が減っていく状況になっていくと思います。そういう時代の変わり目なんだなと感じながら仕事をしてますし、合理化の方向に向かって進んでいかないといけないと思って、知恵を絞っています。時代に合わせて、室蘭の基幹産業を残していくためには、合理化が必要でしょうが、合理化と“人”のバランスをとるために考えていかないといけないと思ってます。
ーー時代に合わせて合理化が必要だとしても、無くしちゃいけないものってありますよね?
今は自動化していく流れがある中で、技術は絶対に残していくべきだと思うし、技術を残す手段を色々考えていかなきゃいけないと思います。室蘭にものづくりの産業がずっと残り続けるような、室蘭が発展していけるような仕事をしていきたいと思っています。
ーー室蘭に戻ってきて、働いたことで以前とは違う側面も見られたと思いますが、室蘭帰ってきて良かったなと実感しますか?
室蘭に戻ってきて良かったなと実感します。
ーー多くの室蘭工業大学卒業生が室蘭市外、北海道外にいますが、卒業生の人達や、室蘭工業大学に通う学生の人達にメッセージはありますか?
「一緒に働きましょう!!」という気持ちはありますが、室蘭出たいと思う人や室蘭を好きだと言わない人もまわりにはいて、どうしてなんだろうなとも思います。僕が室蘭に戻ったのは写真が理由の一つでしたが、大学の時に室蘭にも「こんなすごい人いるんだ」「こんな素晴らしい人いるんだ」「プライド持って仕事している人いるんだ」と思って、この人達と一緒に何かしたいなと思って、室蘭に戻ってきたかったんです。大学時代に室蘭の良さだったり、室蘭の産業に触れて、室蘭に残ってくれる人が増えてくれたらいいなと思います。
自分の写真で室蘭の良さを届けたい。室蘭を支える一つのパワーに

ーー佐藤さんが仕事も頑張って、プライベートでも写真など楽しんでいることで室蘭の良さが伝わるといいですね。写真を撮影するために、まちの良いところを見つける視点も大事だと思うので、日々の生活の中で素敵な場所だったり、良いところを見つけていることが、室蘭の魅力を伝える大きな力になると思います。佐藤さんの写真が観光パンフレットだったりと、色々と使われているのはいかがですか?
写真を使ってもらえることは嬉しいことで、僕が室蘭で写真を撮っている1番の目的は室蘭の良さを人に伝えたいからです。特に室蘭のことを良く言わない人がまわりにもいるので、「その人に届け」という想いで写真を撮っています。僕が写真を撮って発信するのはもちろんなんですが、観光パンフレットだったり、名刺に使っていただけたりして、ありがたいと思ってますし、撮ってて良かったなと思います。
ーー写真を撮るモチベーションになっているんでしょうか?
モチベーションになりますね。僕の写真を通して、室蘭の良さを少しでも伝えられればと思います。
ーー室蘭に住んでいる人達、働いている人達に「自分たちのいる場所って素敵な場所なんだよ」ってことに気づいてもらえたらいいですね。
僕は室蘭を支える仕事ができたり、写真を撮ることができるだけで楽しいって気持ちがありますし、室蘭を支える一つのパワーになれるっていうことに誇りを持っています。

佐藤諒さん撮影作品



会社情報
施設名 | 三菱製鋼室蘭特殊鋼株式会社 室蘭製作所 |
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ホームぺージ | https://www.mitsubishisteel.co.jp/product/special-steel-bars/ |