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平成20年第10回答申書

答申書

答申第7号
平成20年3月11日

室蘭市長 新宮 正志 様

室蘭市情報公開・個人情報保護審査会
会長 奈良 泰哉

室蘭市情報公開条例第15条の規定に基づく諮問に対する答申について

平成20年1月30日付け室港総第436号をもって諮問のあったことについて、下記のとおり答申します。

諮問事項

公文書「室蘭港エンルムマリーナ業務委託料算出内訳、エンルムマリーナ運営管理委託料算出内訳」の
非公開決定に対する異議申立ての審査

答申内容

別紙のとおり

答申第7号別紙

諮問事項に対する結論等

審査会の結論

異議申立人の公開請求に対して、実施機関が全部を非公開とした公文書「室蘭港エンルムマリーナ業務
委託料算出内訳、エンルムマリーナ運営管理委託料算出内訳」については、その全部を公開すべきであると判断する。

異議申立てに至る経緯

(1)公文書の公開請求
異議申立人は、平成19年12月21日付け(実施機関同月25日受け)で、室蘭市情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定に基づき、実施機関(室蘭市長)に対して、公文書の公開請求(以下「本件請求」という。)をした。

(2)非公開決定
本件請求に対して、実施機関は、条例第8条第5号に該当することを理由として、本件請求に係る公文書のうち、「室蘭港エンルムマリーナ業務委託料算出内訳、エンルムマリーナ運営管理委託料算出内訳」について、非公開決定を行ない、平成20年1月10日付けで異議申立人に通知した。

(3)異議申立て
異議申立人は、平成20年1月11日付け(実施機関同月15日受け)で、本件請求に係る公文書のうち「室蘭港エンルムマリーナ業務委託料算出内訳、エンルムマリーナ運営管理委託料算出内訳」について、実施機関の行なった非公開決定処分(以下「本件処分」という。)を不服として、行政不服審査法第6条の規定に基づき異議申立てをした。

異議申立ての趣旨及び理由

(1)趣旨
本件処分の取消しを求める。

(2)理由
ア.非公開理由とした条例第8条第5号は、国、自治体などについて規定されているものであり、第三セクターは含まれず、指定管理者の公募については民間企業と同じ立場で検討すべきである。よって非公開理由には該当しない。
イ.非公開理由の公募への支障は、具体的でなく理由とならない。最終金額は公表されており、支障となりえない。契約金額は毎年変動しており、過去の契約について公開するのは支障とならない。
よって、条例上の非公開理由に該当しない。
ウ.株式会社エンルムマリーナ室蘭による委託料水増請求と業務上横領の疑いがあるため、公募という数年後に漠然と発生するかもしれない不利益よりも、犯罪防止の利益のほうが優先すべきである。
エ.管理委託料が適正金額より多いと考えており、これを立証すための文書が開示されないと、情報公開法の目的の1つである「国民による行政の監視」ができず、情報公開法の目的に反する。

実施機関の説明要旨

(1)本件異議申立ての対象の公文書について
本件異議申立ての対象となる公文書(以下「本件文書」という。)は、本件請求に対して特定した
公文書「室蘭港エンルムマリーナ業務委託料算出内訳、エンルムマリーナ運営管理委託料算出内訳」である。

(2)本件公文書を非公開とする理由について
条例第8条第5号該当性について
本件文書については、室蘭港エンルムマリーナの運営管理の委託料の算出資料である。現在、室蘭港エンルムマリーナについては、株式会社エンルムマリーナ室蘭が指定管理者として管理運営業務を実施しているものである。
室蘭港エンルムマリーナの指定管理者については、公募せずに選定した経緯があるものの、今後の公募の可能性は否定できず、公募する場合においては、管理業務の収支計画書の提出を求めるものであり、その中には、当然として市から受領しようとする委託料の金額も収入として記載されるものである。
その金額だけで指定管理者が選定される訳ではないが、いわば、その金額は入札に近い性格を有するものである。
入札に近い性格を有している限りにおいては、市が積算した運営管理委託料については、予定価格の積算の性格があり、これを公開すると、公募団体の市から受領しようとする委託料の金額が、高止まりする可能性は否定できない。
したがって、今後、エンルムマリーナの指定管理者を公募することになった場合においては、応募団体から提案される委託料が高止まりすると市の財産上の利益を害するおそれがあり、条例第8条第5号イに該当する。
また、たとえ公募せずに、再度株式会社エンルムマリーナ室蘭を選定する場合であっても、公募と同様の手続きを経るため、同社から提案される委託料が高止まりする可能性は否定できず、同様に非公開情報に該当する。

(3)指定管理者選定の取扱いと非公開理由との関係についての補足説明
ア.非公募の施設の場合には参考基準価格(委託料の参考基準となる額、予定価格に近い性格のもの)については、総額及び内訳のどちらも公表していない。
非公募の施設の参考基準価格と事業者からの提案額では、実際に金額にかなりの差が出ているケースもあり、これを選定前に公表していたとした仮定した場合には、非公募である以上、相手方は、参考基準価格まで提案額を引き上げるおそれがあったものである。
また、これを事後に公表するとした場合においても、次回、再度、非公募とした場合には、業務内容に大きな変更がない限り、指定管理者からは、今回よりも高い提案額を提示される可能性があるものと言わざると得ない。
したがって、非公募の施設については、参考基準価格の総額及び積算内訳は、事前も事後も公表することで、市が高い委託料を支払うこととなるおそれがあり、条例上の非公開情報に該当する。
イ.公募の施設の場合には、参考基準価格の総額と物件費の過去の実績額を事前に公表して公募を実施している。
これは、公の施設としての適正な運営のためには、適正な価格の中で、適正な競争がなされるのが良いと考えているからである。
ただし、施設の収入額については、どのように収入増を図る努力をするかが重要であり、人件費についても、委託料に占める割合が高く、企業努力が発揮できる部分であるため、価格情報は事前も事後も公表していない。
したがって、積算内訳まで全てを公表すると、人件費及び収入額についての事業者ごとの企業努力を促す目的が損なわれるおそれがあり、さらに各事業者の見積り努力を損なわせるおそれもあるものと考えられる。
参考基準価格の総額の公表により、適正価格での競争が実施されていると判断できるため、積算内訳を公表したとしても、委託料が高止まりする可能性はかなり低いものであるが、各事業者の企業努力、見積り努力については、事業者の経営能力を見極める判断材料の一要因にもなるため、全てを公表することで、その部分の競争が機能しなくなるおそれがあり、結果的に、適切な事業者選定の実施に支障を及ぼすおそれがあるものと言わざるを得ない。
したがって、積算内訳については、条例上の非公開情報に該当する。

審査会の判断

(1)はじめに
条例上の非公開情報の該当性の審査を実施するに当たり、実施機関の説明及び異議申立人の意見を聴く機会を設け、それぞれの主張を総合的に勘案した上で、本件文書についての非公開情報の該当性の判断を実施したものである。

(2)非公開情報の該当性について
ア.実施機関の説明による条例上の非公開情報について
本件文書の本件処分の理由は、実施機関の説明では、条例第8条第5号イの非公開情報に該当するというものである。
その規定内容は、条例第8条各号列記以外の部分が、「市の機関又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人が行なう事務又は事業に関する情報であって、公開することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」との規定であり、同号イが「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、市又は国、独立行政法人等、他の地方公共団体若しくは地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」との規定である。
当該規定の解釈としては、各号として列挙された事項であっても、「当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるかを慎重に判断する必要があるとされ、また、「事務又は事業の性質上」との表現は、その事務又は事業の内在的性格に照らして保護に値する場合のみ非公開にしうることを明確にしているものと考えられるところである。さらに、「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものであることが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性ではなく法的保護に値する蓋然性が要求されると考えられているところである。
イ.実施機関の説明に対する判断について
実施機関の説明の主旨は、公の施設の指定管理者に対する委託料の積算内訳を公開すると、委託料が高止まり、市の財産上の利益を害するおそれがあり、条例第8条第5号イに該当するというものである。
そのため、実施機関に対して、実際の参考基準価格(本件文書の総額に当たるもの)と事業者からの提案額(実際の委託料となる金額)の比率の資料を求めたところ、非公募の施設の場合には、一部の施設を除いては、99パーセント台という非常に近い数値であり、既に高止まっていると考えることもできるものであった。
非公募の施設の場合には、既に当該施設の管理運営を実施していた事業者が多く、市の積算額と事業者の提案額が近くなった旨、実施機関は説明するが、いまさら、積算額を公開したところで、これ以上、委託料が高くなるおそれについては、高い蓋然性があるとは考えられない。
しかしながら、現実的に参考基準価格と事業者の提案額にかなりの差が出ているケースもあり、一概に公の施設の指定管理者の選定が、非公募であるからといって、その積算額を公開したとしても、全てにおいて委託料が高くなるおそれの蓋然性がないと言えるものでもない。
実施機関は、公募、非公募ともに、公の施設の指定管理者の選定における参考基準価格の公開、非公開について検討を要する内容の説明をしているが、一般論としての公開、非公開の基準を当審査会において、今ここで審査すべきものではないと考えられるため、本件文書についての非公開情報の該当性について、検討することとする。
ウ.本件文書の非公開情報の該当性について
本件文書は、室蘭港エンルムマリーナの委託料積算内訳であるが、当該施設における市が積算した参考基準価格と、指定管理者である株式会社エンルムマリーナ室蘭の提案額とを比較した場合において、これを公開することで、今後、委託料が高くなるおそれについては、その可能性は極めて低いものと認められる。
仮に、当該施設の指定管理者の選定方法が、非公募から公募に変更になったとしても、その場合には競争原理が働くため、これを公開した場合の委託料の高止まりのおそれは、抽象的なおそれに過ぎず、逆に安くなる可能性もあるものと考えられる。
いずれにしても、本件文書のみについて検討した場合には、実施機関が主張する条例第8条第5号イの非公開情報には、該当しないものと判断する。

(3)終わりに
よって、当審査会は、「審査会の結論」のとおり判断する。

審査会の審査経過

1.平成20年1月30日、諮問書及び理由説明書を受理

2.平成20年2月8日、審議(事案の経過・概要の精査)

3.平成20年2月18日、異議申立人より反対意見書及び意見陳述申立書を受理

4.平成20年2月25日、異議申立人の意見陳述を実施

5.平成20年2月25日、審議(審査会判断の決定)

6.平成20年3月10日、審議(答申案作成)

7.平成20年3月11日、答申

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