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脳神経外科

慢性難治性疼痛への取り組み

慢性難知性疼痛について

慢性難治性疼痛には、機序が異なる2種類のタイプがあります。1つは痛覚の受容器・末梢神経が異常に刺激されるために生じる侵害受容性疼痛です。もう1つは痛みを感じる神経が障害され、その数ヶ月後に痛みが発生する神経障害性疼痛です。神経障害性疼痛は、障害された神経より上位(=脳に近い部位)の神経で異常な放電が発生することにより疼痛が発生すると考えられています。

侵害受容性疼痛の代表例としては、癌の骨への転移により痛みを生じることが挙げられます。この疼痛の場合は、通常使用される鎮痛剤やモルヒネの内服などが効果を示すことが多いです。一方、神経障害性疼痛の代表例としては脳卒中後に発生する四肢や顔面などに生じる疼痛(いわゆる視床痛)があります。このタイプの疼痛に対しては、神経の異常興奮を抑える薬(抗てんかん剤)を中心に治療し、その他様々な種類の薬が投与されますが十分な効果を得られない場合が多いです。また脊髄の損傷(外傷、手術後など)や脊髄から出ている神経の障害でも同様な疼痛を生じます。

現在、難治性の神経障害性疼痛に対していくつかの外科的治療選択肢が存在しますが、日本では患者さんのみならず医療関係者の間にもあまり認知されていません。つまり何らかの外科的治療を行えば、疼痛が軽減する可能性がある患者さんが存在しているということです。当院における外科的治療までの流れは以下のようになります。

受診から手術までの流れ

  • 痛みの原因、種類、部位、経過などの把握
  • MRIなどによる神経障害部位の把握
  • 薬物治療の評価
  • 神経ブロックによる効果予測
  • 手術適応の有無の評価
  • 外科的治療の検討

薬物治療の評価

外科的治療を計画する前に、難治性疼痛に対して効果があるとされる薬剤が十分投与されているかを評価します。薬剤治療が不十分な患者さんの場合は、薬を増量もしくは新しい薬を内服していただきます。難治性疼痛に対しては、一般によく使用される消炎鎮痛剤は無効なことが多く、抗てんかん薬、抗うつ剤などを使用します。これらの薬物治療に対して、痛みが軽減しなかったり、副作用のため十分量の薬を使用できないような場合に外科的治療を検討します。

当院の外科的治療

当院では、慢性難治性疼痛の患者さんの痛みを軽減できるように脊髄刺激療法(SCS)を行っています。

慢性難治性疼痛の外科的治療法

脊髄刺激療法(SCS)とは

通常の治療に抵抗する慢性の痛みに用いる治療法のひとつで、脊髄の硬膜外腔という部位に電極を挿入し電気刺激することで痛みを和らげようとするものです。全ての痛みに有効なわけではなく、効果が期待できる痛みは限られています。また、埋め込み術後はMRI検査が受けられないなどの不利益もあるので、治療を受けるかどうかは慎重に決めなければなりません。

脊髄神経を刺激して痛みを軽減するという試みは、決して新しいものではなく、北米では1960年代から広く試みられ、日本でも1970年代から臨床応用が検討され、1992年に保険医療の適用となりました。現在、海外では毎年2万人に行われていますが、国内では認知度が低く累積で5千人にとどまっています。しかし、近年どのような痛みに効果があるかわかってきたため、対象をきちんと選択して行うようになった結果、有効率が高く報告されるようになってきました。また、機器の進歩により、局所麻酔のみでより侵襲の少ない方法で行えるようになりました。

主な適応疾患

  • 脊椎脊髄手術後に再燃した痛み
  • CRPS(複合局所疼痛症候群)
  • 脳卒中後の痛み(顔面以外)
  • 末梢血管障害(ASO、バージャー病、糖尿病性血管障害、など)
  • 帯状疱疹後神経痛/幻視痛/不完全脊髄損傷
  • その他の薬剤抵抗性疼痛

手術条件

  • 薬物治療で除痛が十分ではない
  • 慢性疼痛(6ヶ月以上継続)である

治療の手順

脊髄刺激電極(リード)の本植込みの前にリードを試験的に挿入し、その効果をご自身で判定することができます。治療は以下の2回の手術を行います。

(1)リード挿入術

局所麻酔下で腰部を穿刺しリードを挿入後、一般病棟で約1週間テスト刺激を行い、除痛効果を判定します。

(2)刺激装置の植込み(もしくはリード抜去術)

リード挿入術から約1週間後に2回目の手術を行います。テスト刺激で効果があった場合は刺激装置を腹部へ埋込み、リードと接続します。効果がなかった場合は1回目の手術で挿入したリードを抜去します。