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令和5年第31回答申書

答申書

答申第26号
令和5年7月28日

室蘭市長青山剛様

室蘭市個人情報保護・行政不服審査会
会長高橋國夫

公文書非公開決定処分に対する不服審査請求に関する答申について

令和5年4月10日付け室総法第2号をもって諮問のあったことについて、下記のとおり答申します。

第1審査会の結論

令和3年度退職の室蘭市職員の退職手当に係る支出負担行為兼支出命令書につき、その全部を非公開とした決定は、妥当である。

第2事案の概要

本件は、「令和3年度退職の室蘭市職員の退職手当金額。個別に。(本人を特定できる氏名・住所などの個人情報は必要なし。)」とする公文書の公開請求につき、その全部を非公開と決定したことに対し、当該文書の公開を求めた事案である。

第3審査関係人の主張の要旨

1請求人の主張

(1)通知書の公開しない理由は、当該情報は室蘭市情報公開条例第8条第1号に該当とある。審査請求人は、公開請求書に「本人を特定できる氏名、住所などの個人情報は必要なし」と記載している。

(2)他市では退職手当の金額を公開している例もあり、金額が大きいのは高位の者、金額が低いのは途中退職した者と推測されるが、全員分が公開されているし、中には個人が特定できないよう、10名の退職者のうち、1名分だけ公開しているなど、部分公開している例もあった。

(3)この点、処分庁の説明は、曖昧であり、何名の退職者がいるかも示されていない。個人が識別できる部分は黒塗りするか、識別される者の公文書は公開しないなどの対応ができる。識別できるのであれば一人だけの公開もできる。

(4)公開請求内容は、退職手当金額に限定しており、具体的な理由が記載されていない。

(5)よって非公開決定処分は不当であり、公開請求に係る公開を求める。

2諮問庁の説明

(1)職員の退職手当の金額は、室蘭市退職手当条例においてその計算方法が示されているものの、職員個々の事情が分からない場合は、その正確な額は計算することができないが、同条例により、おおよその金額は類推できるものである。

(2)退職手当金額の計算に大きく影響を与えるのは、勤続年数であるが、本件公開請求に係る退職者の勤続年数をみると、同一の勤続年数である者は、最大で2名であり、金額にはばらつきが見られる。

(3)そのため、個々の退職者及び当該退職者のおおよその勤続年数を知っていれば、個々の退職者を特定できる可能性があり、氏名等の個人情報と相まって特定の個人を識別することができる情報に該当するといえること、また、当該書類を部分開示しようとすると、基本記載されている全ての情報を黒塗りして開示することになり、開示すること自体意味をなさなくなってしまうことから、全部非開示としたものである。

(4)以上のとおり、本件公開請求に係る退職手当金額は、その全てが室蘭市情報公開条例第8条第1号に規定される個人の情報であって、特定の個人を識別できるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)に該当するものであり、全部を非公開とした判断は、適当である。

第4調査審議の経過

令和5年4月10日

諮問の受付

令和5年4月19日

調査審議

令和5年6月12日

請求人より口頭意見陳述の申立て

令和5年7月7日

口頭意見陳述

令和5年7月28日

調査審議

第5審査会の判断の理由

1公文書公開請求について

(1)室蘭市情報公開条例は、市政に関する情報についての市民の知る権利を保障するとともに一層公正で開かれた市政の実現を図り、もって市政に対する市民の理解と信頼を深め、地方自治の本旨に即した市民主体の市政の推進に寄与することを目的とするものである。

(2)しかし、同条例第8条第1項第1号において、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)については、非公開情報とし、原則として公開しなければならないとする公文書の例外に位置付けており、同条例にあっては、知る権利を保障しつつも、個人のプライバシーの保護に配慮し、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる情報については、公開してはならないと規定しているものと考えられる。

(3)よって、以下、退職手当の金額が、この非公開情報に該当するかについて検討する。

2非公開情報該当性について

(1)職員の退職手当の金額は、職員個人の収入に関する情報であって、公務員としての職務を遂行するための情報とは異なり、他人にとって知られたくない情報であると考えられる。

(2)一方、請求人は、「本人を特定できる氏名・住所などの個人情報は必要なしと記載しており、識別できる部分は黒塗するか、識別される者の公文書は公開しないなどの対応ができる。」と主張しており、これは、個人を識別できない場合においては、退職手当の金額は、非公開情報に該当しないとの主張であると解される。

(3)この点につき、諮問庁は、「退職手当の金額は、条例においてその計算方法が示されており、おおよその金額が類推できるものであることから、その金額自体が特定の個人を識別することができる情報である。」と説明していることから、以下、検討する。

ア室蘭市職員の退職手当の金額は、室蘭市職員の退職手当に関する条例においてその計算方法が示されており、当該条例は、室蘭市の公式ホームページで公開されているものである。

イ同条例によると、退職手当の金額は、調整率はあるものの、基本的には給与月額に勤続期間を乗じて計算される。

ウなお、給与月額については、室蘭市職員の給与に関する条例において給料表が示されており、勤続年数や職位等により、おおよその金額が類推できると認められ、かつ、当該条例についても、室蘭市の公式ホームページ上に公開されているものである。

エこれらを勘案すると、退職者の勤続年数や、退職時の職位等、個人の事情を知る者にあっては、一定程度の精度によって、退職手当の金額を類推できるものであるといえる。

オまた、諮問庁は、「退職手当金額の計算に大きく影響を与えるのは、勤続年数であるが、本件公開請求に係る退職者の勤続年数をみると、同一の勤続年数である者は、最大で2名であり、金額にはばらつきが見られる。」とも説明している。

カ当審査会において、本件請求に係る退職手当金額を確認したところ、その金額は、諮問庁の説明するように一定程度のばらつきが見られることが確認でき、このような状況下においては、前述のとおり、一定程度の精度において退職手当の金額を類推できる以上、退職手当の金額を公開することにより、当該退職手当が支給された個人を識別される可能性があるといえる。

(4)以上のとおり、個々の退職者及び当該退職者のおおよその勤続年数を知っていれば、個々の退職者を特定できる可能性があり、氏名等の個人情報と相まって特定の個人を識別することができる情報に該当するとする諮問庁の判断は、妥当であるといえる。

3部分公開の可否

(1)請求人は、「識別できる部分は黒塗りするか、識別される者の公文書は公開しないなどの対応ができる。識別できるのであれば一人だけの公開もできる。」と主張しており、室蘭市情報公開条例第9条第2項において「公開請求に係る公文書に非公開情報を記録した部分がある場合において、その部分を容易に分離することができ、かつ、当該分離により公開請求の趣旨が損なわれないと認めるときは、非公開情報に係る部分を除いて当該公文書を公開しなければならない。」とあることから、この可能性について検討する。

(2)前述のとおり、本件請求に係る退職手当金額は、一定程度のばらつきが見られるため、全ての金額について、個々の退職者を特定できる可能性があり、「識別される者の公文書は公開しないなどの対応ができる。」との請求人の主張は、採用することができない。

(3)また、本件対象文書を確認したところ、当該文書には、退職者の氏名及び住所、退職の事由、退職日、退職手当の受取人、退職手当の振込先口座並びに退職手当の金額が記載されていることが確認できる。

(4)このうち、退職の事由等、個人を特定できない部分に限って情報を公開することは否定しきれないが、当該部分についてのみ公開することは、退職手当の金額に係る公文書を請求する請求人に対し、公文書を公開する意味をなさなくなるものであり、全部を非公開とした諮問庁の判断は、妥当であるといえる。

4非公開決定処分の妥当性

以上により、本件対象文書につき、その全部を室蘭市情報公開条例第8条第1号に該当するとして非公開と決定した処分については、前記第1のとおり、これを妥当と判断するものである。

以上

お問い合わせ

総務部総務課法規係
住所:〒051-8511 室蘭市幸町1番2号
電話:0143-25-2215   ファクス:0143-24-7601
Eメール:soumu@city.muroran.lg.jp

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