リハビリテーション科
リハビリテーション科は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の職種が在籍しております。平成21年度から積極的なリハビリ職種の増員に着手し、現在では総勢55名となり診療科にもよりますがほとんどの入院患者さんに対して充実したリハビリを行っています。
リハビリ科の基本方針としては「急性期リハビリテーション」「がんのリハビリテーション」「予防的リハビリテーション」の3本の矢を掲げ、現在は特に「急性期リハビリテーション」の分野に重点を置き様々な取り組みを行っております。
患者さんはリハビリセンター室(呼称:リハビリ訓練室)や患者さんの病室や病棟フロア内(呼称:ベッドサイド)でリハビリを行います。訓練室では患者さんと担当リハビリスタッフとの関係性だけではなく、他のリハビリスタッフや患者さんとも会話し笑い楽しい雰囲気で行っています。ベッドサイドでのリハビリは入院してから間もない方や術後の方、体調が優れない方、実際の日常生活の場面でのリハビリが必要な方が主に行っております。ベッドサイドでのリハビリは十分な説明を行い、過度な負担がかからない範囲で行うよう心掛けております。
また、月1回行われているリハビリテーション科外来には担当リハビリスタッフが受診に同席し、リハビリテーション医より助言を受けながらより専門的なリハビリを提供しております。
※今年度は新型コロナウィルス感染症対策のため一部業務内容の変更を行っております。
今年度採用者紹介
令和5年度より新たに4名(理学療法士1名・作業療法士3名)が入職しました。若い力で患者さんのサポートを行っていきます。
訓練室内観
施設基準
- 脳血管疾患等リハビリテーション料Ⅰ
- 廃用症候群リハビリテーション料Ⅰ
- 運動器リハビリテーション料Ⅰ
- 呼吸器リハビリテーション料Ⅰ
- 心大血管疾患リハビリテーション料Ⅰ
- がんリハビリテーション料(がんのリハビリテーション研修会修了者:47名)
理学療法係(Physical Therapist:PT)
現在、理学療法士は32名の職員が在籍しており、この規模の人数は道内の公立病院においては最大級となります。多くの理学療法士がいることで専門性を生かした診療体制作りや職員一人一人が患者さんに寄り添う時間を大切にすることができます。
理学療法係の体制は診療科別かつ入院外来別の専門チーム(班)でリハビリを提供しております。また、一定水準の理学療法を保障するため「登録理学療法士」の全職員取得も目指しております(取得可能な経験年数を満たしている職員21名中20名が取得済み)。さらに、各チーム(班)には、特定の疾病に対する知識・技能、資格を有している職員も所属しており最前線の理学療法を展開しております。
また、限定的ではありますが発症直後や術後の患者さんを対象とした休日リハビリ(日曜日以外)にも取り組んでおります。
「登録理学療法士」:日本理学療法士協会が定めたジェネラリストを育成する制度です。
脳外班
脳神経外科、リハビリ科、救急科の患者さんを対象とした班です。
発症直後からのリハビリは重要であり、肺炎や血圧調整障害、褥瘡などの合併症予防となり、その後の日常生活自立度にも大きく影響します。そのため、入院当日からベッドサイドでリハビリを開始することもあります。リハビリでは患者さんの状態に合わせて電気治療(低周波)や装具、免荷リフトを使用した動作訓練などを積極的に行い、1日でも早く回復出来るようにサポートを行っております。
全身状態が安定してからは神経筋回復、廃用改善を図りながら動作の再獲得、体力を向上させるようなリハビリを行います。また、退院に向けた日常生活の練習や介護保険サービスなど社会資源を利用するための助言・相談を他職種と連携しながら進めております。
整形班
整形外科の患者さんを対象とした班です。
受傷直後、術後早期より離床を積極的に行い合併症の予防や日常生活の獲得を行います。日常生活では、歩行や車椅子などでの移動の早期獲得を目指し取り組んでいます。また、身体機能の改善を目指し機能訓練も行っていきます。
患者さんは痛みがあり、治療上、荷重制限や装具を使用するため精神的に不安になる方が多いです。そのため、担当の理学療法士は医師に治療方針やリスクを確認しながら治療を進め、精神的なサポートも行いながらリハビリしています。
内部班
脳脳神経外科と整形外科を除く全ての診療科の患者さんを対象とした班です。
消化器外科や呼吸器外科で手術を予定している患者さんの術前リハビリや術後翌日からの離床、状態が落ちついてからは体力を高めるための運動などを行っています。術後、自力で起き上がり身の回りのことができるようになるまでには基本的に1日2回のリハビリを心掛けております。
消化器内科や呼吸器内科の患者さんでは、その日の体調に合わせた廃用予防・改善のためのリハビリや化学療法中の患者さん対しても副作用による日々の体調の変化に応じたリハビリを説明や相談しながら体に無理な負担をかけないようにサポートしております。また、糖尿病内科の患者さんやリンパ浮腫ある患者さんには、専任の理学療法士(日本糖尿病療養指導士・医療リンパドレナージセラピスト取得)が対応しております。
スタッフ構成
理学療法士 32名
診療科別リハビリ実施割合
入院
令和4年度実績
作業療法係(Occupational Therapist:OT)
作業療法士(OT)は、病気や怪我、障害などで日常生活を送ることが困難になった患者さんに対し、「作業」を通じて社会の中で暮らせるように支援しています。
当院の作業療法係は大きく分けて、脳外班・整形班の2つの班で構成されています。
脳外班
脳外班では、急性期・亜急性期から起きる・座る・立つ等の人間にとって基本的となる動作や、食事・整容・更衣・トイレ・入浴動作等の、日常生活に必要な能力を再獲得する為の訓練を行っています。また、脳血管疾患に合併する、認知・注意・記憶などの様々な症状(高次機能障害)に対する評価・訓練などを行っています。訓練では、退院後の生活を安心して過ごせるように、実際の生活に合わせた日常生活の訓練や、介護保険など社会資源を利用するための助言・相談など、他職種と連携しながら行っています。その他にも、職業復帰を支援する為の訓練や、車の運転適正を評価する取り組み等も行っています。
整形班
整形班では、手の外科的疾患や脊髄疾患を中心に受傷・術後早期よりスプリント療法や運動療法等で介入し、早期退院を目指して訓練を行っています。退院後には、外来にて継続してリハビリを行うことで機能回復に努めています。回復段階に合わせた運動や日常生活動作を指導し、自宅でも継続して訓練を行っていただき、早く元の日常生活に戻れる様にお手伝いしています。
スタッフ構成
作業療法士 15名
診療科別リハビリ実施割合
入院
令和4年度実績
言語聴覚係(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)
言語聴覚療法について
言語聴覚係ではコミュニケーションや食事の飲み込みに対して障害を持つ患者さんに対して評価・訓練を行います。当係では脳神経外科をはじめとしたすべての診療科からの処方を受け付けており、主に失語症、構音障害、嚥下障害を扱います。
失語症とは、脳卒中などで脳の言語中枢の機能低下をきたし言葉を思い出したり理解したりすることが不自由になってしまう病態です。構音障害は、言葉の想起や理解は可能ですが、お口や喉が動きにくくなり上手く言葉が話せなくなるものです。嚥下障害では、加齢による筋力低下や舌・唇などが麻痺することで食べ物が飲み込みにくくなります。
失語症、構音障害、嚥下障害は、いずれも症状の出方やその治療が患者さんごとに変わります。主治医からの依頼に応じて担当の言語聴覚士が評価を行い、オーダーメイドの訓練を提案・提供します。
特に嚥下障害の患者さんに対しては必要に応じて嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査といった画像評価も他科と連携して行っております。また、嚥下に関する知識や食事介助の技術について、病棟看護師を対象に院内での勉強会を開催するなど、啓発活動にも力を入れています。
急性期の病院として、入院後早期から言語訓練や嚥下訓練を進めることはとても重要です。特に脳卒中の患者さんにとって、発症後数週間は予後を左右する重要な時期といわれます。少しでも患者さんの治療に貢献できるよう自己研鑽に励むとともに、それぞれが責任とやりがいを持って日々の業務にあたっています。
スタッフ構成
言語聴覚士 8名
診療科別リハビリ実施割合
入院
令和4年度実績
外来リハビリ
全ての診療科の外来リハビリ患者さんを対象としております。
リハビリには脳卒中の患者さんや整形外科で手術し入院されていた患者さん、慢性関節疾患の患者さんが多く通われています。
特定の疾患に対しては専門資格(JARTA認定スポーツトレーナー、フットケア指導士、日本糖尿病療養指導士、医療リンパドレナージセラピスト)を有するスタッフが対応します。また、病気により自動車運転が困難になった方の運転再開に向け、認知・高次脳機能評価を実施しております。必要に応じて、自動車学校での実車評価も行っております。
診療科別リハビリ実施割合
理学療法外来
作業療法外来
包括ケア病棟(リハビリ)
包括ケア病棟について
一般的な地域包括ケア病棟の役割にある在宅復帰に向けた退院支援やリハビリの強化のみならず、リハビリ目的で転院する患者さんのリハビリ強化も重視しております。
リハビリでは、機能改善に向けた訓練はもちろんのこと、ADL訓練やIADL訓練、退院調整も併せて行っております。また、患者さんの状態に合わせてレク活動等で交流を促す時間を設けております。ベッドから離れ、生活上で活動する頻度を多くすることで在宅復帰に向けた体力作りや社会参加に取り組んでおります。
多職種ともこまめな情報交換や適時カンファレンスを行い、今後の患者さんの退院計画や進捗状況の確認を行っています。退院に向けて自宅環境を想定した動作練習を行うことや、薬の管理方法の指導を行う等、リハスタッフと看護師等が協力と役割分担を上手く行っております。また、必要に応じて家屋調査を行い自宅環境の調整や動作の確認も行い、患者さんやその家族が安心して退院を迎えられるような関わりをしております。