放射線科
バセドウ病のアイソトープ治療を受けられる方へ
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)に対するアイソトープ治療は簡便かつ有効な治療法ですが、これまでは特別な施設をもつ病院で1週間の入院の上で行われてきました。このたび、厚生省から新しい指針が出され、当院でも治療が出来るようになりました。入院も必要ありません。わからないことがありましたら、気軽におたずねください。
バセドウ病について
バセドウ病とはどんな病気ですか?
甲状腺ホルモンがたくさん作られ過ぎる病気です。体重減少、頻脈、動悸、指のふるえ等の症状がでたり、甲状腺がはれたり、眼球突出がみられたりします。
どんな治療法がありますか?
1.抗甲状腺剤の長期内服治療 2.アイソトープ治療 3.外科的治療 の3つの治療法があります。
アイソトープ治療はなぜ効くのですか?
甲状腺は、海藻などに多く含まれるヨウ素を取り込んでホルモンをつくります。このヨウ素の仲間に放射線をだす放射性ヨウ素があります。放射性ヨウ素もふつうのヨウ素と同じように甲状腺に取り込まれ、ホルモンをつくる細胞を壊してくれます。その結果、甲状腺ホルモンが減るというわけです。
甲状腺のほかに影響は出ませんか?
からだの中でヨウ素を取り込むのは甲状腺だけなので、ほかのところに副作用が出る心配はありません。また放射性ヨウ素からでる放射線は、物をつきぬける力がとても弱いので甲状腺のまわりにも影響を与えません。
白血病や癌になる心配はありませんか?
バセドウ病のアイソトープ治療は、40年以上の歴史があり、注意深く、この心配について研究されてきました。その結果、白血病や癌になる可能性を高めないことがわかっています。
子孫への影響はありませんか?
安全性は確かめられております。ただ、治療後すぐに妊娠を希望される方はご相談下さい。
アイソトープ治療を受けられない人はいますか?
現在、妊娠中または授乳中の方は受けられません。また甲状腺が極度にはれている方は受けられないことがあります。
アイソトープ治療に副作用はありますか?
治療後、歳月とともに、甲状腺ホルモンが足りなくなる人の割合が増えていきます。10年で4割の人が甲状腺機能低下症になるとされています。この場合、甲状腺ホルモンを生涯、飲まなくてはなりません。しかし、甲状腺ホルモンには副作用がなく、抗甲状腺剤を飲み続けるよりはるかに安全です。
治療のスケジュールは?
まずCT検査を受けます。その後10日から1週間のヨウ素制限をしていただきます。核医学検査をして、放射性ヨウ素のカプセルを飲んでいただきます。入院の必要はありません。
ヨウ素制限とは?
放射性ヨウ素がきちんと甲状腺に取り込まれるようにする準備です。昆布、わかめ、ヒジキ等の海藻類、のり、寒天、羊羹等の海藻製品、たら、たらこは、できるだけ食べないで下さい。また、抗甲状腺剤も飲むのをやめます。
放射性ヨウ素を飲んだあとに気をつけることは?
病院から帰る時は、バス、電車などの利用はできるだけ避けて下さい。また厚生省の新指針での注意事項はつぎの通りです。
- 他の人と同じベットで寝ることは避けて下さい。
- 公共の場(例えば、交通機関、スーパーマーケット、ショッピングセンター、映画館、レストラン)はできるだけ避けて下さい。
- 放射性物質を含む排泄物による汚染を避けるよう注意して下さい。
- 患者が用便した後、便器を直ちに洗剤などで数回洗浄して下さい。
- 子供や妊婦と接する時間を最小限にして下さい。
治療が終わってからは?
アイソトープ治療が安全であること、そして治療を受けるときに気をつけなければならないことがおわかりいただけましたでしょうか。あなたの病気をなおすために、わたしたちスタッフ一同全力を尽くしますから、ご協力下さい。わからないこと、心配なことがありましたら、いつでもお尋ね下さい。