令和5年第1回市議会定例会において市長が説明した「市長説明」について、全文を掲載します。
令和5年第1回市議会定例会市長説明(令和5年2月27日)(PDF:188KB)
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1.安心できるまちづくり
2.ものづくりのまちが挑む北の先端産業都市づくり
3.潤いある観光・文化・スポーツ振興
4.世界に貢献する港づくり
5.将来を見据えた公共施設整備と行財政改革
令和5年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の所信と提案しております予算案の大綱を申し上げます。
振り返りますと、今任期は新型コロナウイルス感染症との闘いでありました。
ウイルスが刻々と変異し、感染拡大の波が繰り返し押し寄せる中、迅速なワクチン接種や情報発信、各種支援金の給付やプレミアム商品券の発行など、市民の命と生活、そして地域経済を守り抜くことを最優先に取り組んできました。
また、昨年からは、コロナ禍により停滞していた経済活動の再開に伴う需要増や、ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー等の物価高騰も市民生活に重大な影響を与えており、引き続き感染状況や地域経済の実情を踏まえしっかりと対応してまいります。
これら対策と並行しながら、誇りや愛着を持って住み続けられるまち「誇り輝く室蘭」の実現に向けて、全力で取り組んできました。
最重要課題である人口減少対策では、奨学金の返還支援や、結婚・出産に伴う引越し費用等の助成に加え、公有地の宅地提供など、就職から結婚、子育てまで、切れ目のない支援を行うことで、子育て世代の定住を促進したほか、将来を見据えた公共施設整備では、環境科学館・図書館や総合体育館の整備を進め、子育て環境の充実や、地域の賑わい創出につなげてきました。
産業振興では、ものづくり技術や天然の良港など、本市の潜在力を積極的に発信してきたことで、洋上風力発電関連やソフトウェア関連企業など、設備投資や企業誘致が進んだほか、創業に対する支援を拡充したことで、空き地や空き店舗の活用をはじめ、就業機会の創出や若い世代を中心とした移住・定住の促進にもつながっております。
次に、直面する重要課題への対応について、まず、「地域医療の連携・再編」では、先般、私自ら医師会長や各病院を訪問し、3病院の連携・再編等に係る協議の継続を確認しており、地域医療を守るための情報の共有と連携の方策について、調整を続けてまいります。
また、「フェリー航路休止への対応」については、この間、関係自治体等と連携しながら、広域物流動向の調査や船社への働きかけなど、航路の再開を目指し粘り強く取り組んできましたが、先般、津軽海峡フェリー株式会社より、室蘭・青森航路の開設についてお話をいただいたところであり、既存ストックの有効活用や地域経済の活性化の観点を踏まえ、引き続き同社との協議を進めてまいりたいと考えております。
「公共施設の適正化」については、昨年の第4回定例会において、今後20年以内に建て替え時期を迎える施設のあり方の基本的な方向性をお示ししたところでありますが、特に廃止を予定する施設の利用団体には、代替策なども示しながら丁寧な説明を行い、理解を求めていきます。
なお、今任期においては、職員の不祥事が多発し、現在は高砂町における水道水へのベンゼン混入問題など、行政への信頼を損ねる事案も発生しており、組織の長として率直にお詫びするとともに、市民の信頼回復と不安の解消、再発防止など、引き続き責任ある対応をしていきたいと考えております。
次に、令和5年度の予算編成につきまして、基本的な考え方を申し上げます。
本年は改選期に当たり、骨格予算として編成していますが、人口減少対策や子育て支援などに関わる取り組みに加え、防災対策など市民の安全・安心に関わる施策については、可能な限り予算計上いたしました。
一般会計予算では、電気や燃料をはじめとした物価高騰の影響により、非常に厳しい予算編成となりましたが、地方消費税交付金等の伸びや、令和4年度に追加交付となった普通交付税の活用、また事務事業見直しの徹底や各種基金の取り崩しなどにより、収支均衡を図ったところです。
次に、主な施策について申し上げます。
はじめに「安心できるまちづくり」であります。
定住促進では、結婚・出産に伴う引越し費用などの助成について、所得要件の緩和や助成額を拡充し、若年層の市外転出抑制を図るほか、市内の民間シェアオフィスと連携し、道外企業の拠点設置やテレワークを活用した移住を促進します。
子育て支援では、老朽化した楽山保育園の移転改築への支援を行うほか、みなと小学校や海陽小学校など、利用者数に対し手狭になっているスクール児童館の専用スペースを拡大するなど、保育環境や放課後児童対策の充実に取り組みます。
さらに、保育所やスクール児童館等における登園管理や連絡事務などについてICT化を図ることで、保護者の利便性向上や保育士等の負担軽減につなげていきます。
災害に強いまちづくりでは、電柱や公共施設など、市民の身近で目につく場所に、浸水高さなどを示す津波浸水サインを設置し、日常生活の中での避難の備えや有事の際の迅速な避難行動につなげるほか、津波浸水区域となる東町、中島地区を中心に現在20箇所の指定津波避難ビルを40箇所まで拡充し、緊急避難場所の確保を図ります。
また、鷲別川やチマイベツ川周辺等の洪水浸水想定区域を示したハザードマップを新たに作成し、対象地区の住民の防災意識向上を図ります。
将来を見据えた消防体制の構築では、西胆振の共同消防指令センターの整備に向けて、実施設計に着手します。
障がいのある方の自立支援では、市内企業への情報発信を強化することで、福祉的就労事業所と業務発注者のマッチングを促進し、就労機会の拡大につなげていくほか、重度心身障がい者の外出支援タクシーチケットの使用制限を緩和することで、利便性の向上を図ります。
地域における交通の利便性向上については、「地域公共交通網形成計画」の見直しを行うほか、イオン室蘭店の市場跡地への移転やモルエ中島の拡張に伴う交通量の増加を踏まえ、周辺道路の整備に向け測量・設計などに着手します。
次に「ものづくりのまちが挑む北の先端産業都市づくり」であります。
脱炭素社会の実現に向けた取り組みでは、地球温暖化対策実行計画に基づく啓発イベントや環境教育を通じ、市民の脱炭素化への意識醸成と行動変容を促すとともに、街路灯や公共施設のLED化など、温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みを進めるほか、地元企業の脱炭素関連事業への参入機運醸成に向けて、グリーントランスフォーメーション推進セミナーを開催します。
水素エネルギー産業の創出では、港や製鉄・鉄鋼業を中心とする企業集積など、地域特性に加え、室蘭工業大学や市内外の企業との脱炭素社会創造協議会のネットワークも活かしながら、水素サプライチェーンの構築に向けた実証事業などを進めてまいります。
産業振興では、中小企業の生産性向上と競争力強化を図るため、IoTやAI、産業用ロボットの導入に向けた取り組みを支援するほか、UIJターン就職に関する連携協定を締結した企業の情報発信や奨学金の返還支援など、働き手確保に取り組むとともに、空き店舗の活用や自宅での開業などを支援することで、若者の定住やまちの賑わい創出につなげていきます。
次に「潤いある観光・文化・スポーツ振興」であります。
観光の推進では、「白鳥大橋主塔登頂クルーズ」や「室蘭de手ぶらフィッシング」、また「森蘭航路体験ツアー」など、関係自治体とも連携した体験型観光を積極的にPRするほか、炭鉄港文化財や環境科学館・図書館をはじめとする本市の地域資源を活かした教育体験旅行の誘致を進めるなど、交流人口の拡大に取り組みます。
室蘭岳山麓総合公園については、炊事場などの環境整備を行いながら、キャンプ場の本格実施に向けた実証事業を継続します。
スポーツ環境の充実では、祝津公園サッカー場の供用を開始するほか、入江運動公園内のテニスコート整備や陸上競技場の改修を進めます。
文化振興では、旧絵鞆小学校において、収蔵品の展示や模擬発掘体験を通じた、縄文文化の普及啓発と理解促進を図ります。
次に「世界に貢献する港づくり」であります。
将来を見据えた港づくりでは、現在、室蘭港において祝津地区の市有地を活用した洋上風力部材の技術開発や、世界最大級の自航式SEP船の母港利用など、洋上風力発電産業の集積が徐々に進んでいますが、今後も市内外の関連企業や関係団体と連携しながら拠点化に向けた取り組みを推進するとともに、室蘭港に立地する企業や船舶の脱炭素化など、カーボンニュートラルポートの形成に向けた取り組みを、中長期的な展望をもって進めてまいります。
客船の誘致では、海外からのクルーズ船受け入れ再開に向けて、感染予防対策やおもてなしの準備を進めるほか、北日本におけるクルーズ船の受け入れ拠点を目指し、国や北海道と連携したプロモーション活動などに取り組みます。
港湾整備については、祝津ふ頭の岸壁整備を進めるとともに、客船寄港時の道の駅みたら室蘭周辺とのアクセス強化を図るため、絵鞆臨海公園への通路整備を進めます。
次に「将来を見据えた公共施設整備と行財政改革」であります。
公共施設の適正化では、学校給食センターについて、登別市との共同化に向けて、整備運営手法などの協議を進めます。
歳入確保の取り組みでは、新たに水族館と祝津公園サッカー場にネーミングライツを導入するほか、ふるさと応援寄附金についてはポータルサイトの拡充や返礼品の充実を図ります。
都市公園の機能再編では、中島公園の整備に向けて民間活力導入の可能性について調査するほか、公園遊具の計画的な更新を図るため新たな長寿命化計画を策定します。
市営住宅の整備では、東町たいわ団地の建て替えや、本市への移管を予定している白鳥台道営住宅の改修を引き続き進めます。
以上、令和5年度予算編成の基本的な考え方と、主な施策の概要を申し上げました。
昨年は開港150年・市制施行100年という、本市にとって大きな節目の年でありましたが、式典をはじめとする様々な記念事業を通じ、市民と感動を共有するとともに、次の100年に向けた一歩を踏み出せたことは、大きな喜びであります。
記念式典では、10年前の式典に小学生として参加していた青年が来場し、自身のタイムカプセルを開封して取り出した手紙には「未来の室蘭は楽しいまちになっていてほしい」と、このまちの未来への思いがつづられていました。
この青年は、現在、市内で港湾建設に関わる仕事に従事し、室蘭市や室蘭港の発展のために努力していると語っておりました。
幼い頃から、室蘭のことを思い、そして今このまちの産業を支える一人となっていることを感慨深く思うとともに、一人ひとりの思いがまちを支え、先人たちが築き上げてきた歴史を、未来へとつないでくれると確信しました。
また、近年、室蘭に戻り起業する方や、市外から応援してくれる人にお会いする機会が増えましたが、皆さん口をそろえるのが、「大好きな室蘭のために何かしたい」という言葉であり、室蘭に愛着を持つ子どもたちが増えていくことが、まちの更なる発展に向けた力になるとの思いを強くしたところであります。
今任期を間もなく終えようとしておりますが、人口減少が続く厳しい時代にあっても、このまちを思う多くの人たちが、笑顔で暮らせるまちに向けて、挑戦を続けていく決意であります。
終わりに際し、議員並びに市民の皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
お問い合わせ
企画財政部企画課企画係
住所:〒051-8511 室蘭市幸町1番2号
電話:0143-25-2181
ファクス:0143-24-7601
Eメール:kikaku@city.muroran.lg.jp
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